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ゲキ×シネ『髑髏城の七人~アオドクロ』観劇録

 劇団☆新感線の舞台を映画館で楽しむ映像作品『ゲキ×シネ』で『髑髏城の七人~アオドクロ』を観劇してきました。

『髑髏城の七人〜アオドクロ』

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり

出演:市川染五郎(現・十代目松本幸四郎鈴木杏 池内博之 ラサール石井 高田聖子 三宅弘城 粟根まこと 高杉亘 川原和久 佐藤アツヒロ

アオドクロ|ゲキ×シネ - 「演劇×映像」の新感覚エンターテインメント

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Inouekabuki-Shochiku-mix「髑髏城の七人~アオドクロ」 DVD予告編


GEKIxCINE Official ゲキ×シネ「髑髏城の七人~アオドクロ」予告

 

 『髑髏城の七人』は1990年の初演以来、度々、およそ7年ごとに再演を繰り返し、昨年2017年は5パターンも展開して豊洲でぐるぐる回りながら*11年間のロングラン公演もされていますが、私が知っているのは、1997年に上演された再演版の映像と『髑髏城の七人Season鳥』の戯曲本。あとは公演当時の感想ブログからいろいろと漁ったり、東京で回っている最中の髑髏城はゲネプロ映像や特番の映像を拝見したりした程度の知識で、ゲキ×シネ『髑髏城の七人〜アオドクロ』を観劇。実際の上演は2004年10月。同年4月の『髑髏城の七人~アカドクロ』に続く上演だったわけで、その『アカドクロ』は見たことがないのですが、それでも再演版を見ておいて良かったと心から思いました。舞台って絶対途中で話についていけなくなるんですよね。だからあらすじが頭に入っていたのは大きかったです。さらに比較しながら見られたので(ここにアカが入ればなおのこと良かったのですが)とても楽しめました。

 

 まず市川染五郎*2さんの美しさたるや。捨之介の白髪に白い着流し姿のなんと麗しいことよ。歌舞伎の方だから捨之介の飄々とした軽さもなんだか上品で、見えを切ったり花道を駆け抜けたりする姿は見事なもの。それがまたかっこいいんですよね。でもちゃんと捨之介になっていて、それが証拠に天魔王の時はまたガラリと雰囲気が変わりますから。かっこよかったです。

 美しい麗しいと言えば池内博之さんの蘭兵衛も綺麗でした。青系統でまとめられていて涼しげな雰囲気ですが、お声や台詞回しは重たく落としているギャップ。そして髑髏城に向かう前の白い花との切なさ。今に続く蘭兵衛の麗しき二枚目俳優客演ポジションはこのあたりから作り上げられたのかな、なんて思いました。そんな麗しき蘭兵衛と天魔王の口説きの場面で夢見酒の口移しの絵になることと言ったらもう......。これは今となっては定番(?)のようですが、97年再演版では盃を渡すだけですよね。初演はどうだったのでしょうか。初演同様に『アカドクロ』では蘭兵衛役が女性で、そのアカでは口移しがあったようですが、この時から始まったのでしょうか。いずれにせよ、アカで女性だからこそと思わせて、アオで男性でも口移しにしたと考えると......、ああなんかもう良いです。

 佐藤アツヒロさん演じる忠馬はオリジナルの兵庫とは、また違ったアホ加減と愛しさを持つキャラクターでした。忠馬のほうが幼いというか子供っぽいというか(才蔵という保護者みたいな子分がいるからかな)、それ故の純粋さが愛おしい。アツヒロさんは『七芒星』を見たことがあったのですが、それから考えると随分と振り切ってふざけた感じになっていますね。でも忠馬のほうが数段若々しく見えました。光GENJIネタが絶対入ってくるのがジャニオタとしては楽しいです。花道を「夢はフリーダムフリーダム」と歌いながら通過したり、踊りながら突然ローラースケートのように滑り出したり......ローラー靴、懐かしいですね。当時の自分の年齢を換算してみたら、確かにローラー靴が大流行してた頃で周りみんな履いてましたからね(私は買ってもらえなかったけど)。でもあの靴、滑る分には良いとして履いたまま踊ったり普通に歩いたり走ったりするのは相当やりづらいと思うんです。そんなところに凄いなと感心していました(笑)

 忠馬の子分でありながら、保護者のように優しく見守る才蔵を演じるのは川原和久さん。この才蔵、大人気な理由が分かりました。もとは侍として忠馬を仇討ちのために追っていた身でありながら、忠馬の信念に共感してついて行くことにしただなんて、人間がかっこよすぎる。最後まで忠馬を思って戦って死んでいったなんて、切なすぎるしかっこよすぎるわ。才蔵はこのアオドクロからの登場のようですね。少なくとも97年の再演版には才蔵のような役はいないし、初演とアカドクロにも登場人物を見る限りいないように見受けられますが、合ってますかね? 全体総じて言えることですが、新しいキャラクターの登場によって、それぞれの物語や関係が深く掘り下げられているようで、この才蔵の存在も、忠馬の子供っぽさと呼応して物語も掘り下げてくれています。才蔵万歳。

 粟根まことさん演じる渡京もまた最高でした。「陣内孝則でぇす」とよく分からないモノマネ。友達のそろばんころすけくんブッブ~の気持ち悪さ(←失礼)。その他諸々、基本的にずっと面白いことになっていて、終始面白かったです。最初に見てるのが粟根さん演じる蘭兵衛だったものだから、そこから考えると「かっこいい」から「面白い」へのギャップが激しいのですが、ふざけ倒す粟根さんも最高でした。ジャンボころすけくんによるそろばん殺陣はかっこよかったです。ところで脱線しますが、この渡京のそろばんキャラは前回の粟根さんの蘭兵衛がそろばんキャラだったことが始まりなんですか?鳥ドクロの渡京もそろばんだったので元からそういうものだとばかりに思っていましたが、初演のオリジナルの渡京はそうではなかったのかなあと......どなたか詳しい方、教えてください!

 さて、実はこの方が目当てだったと言っても過言ではない三宅弘城さん演じるカンテツ。なんだこいつ可愛い。『修羅天魔~髑髏城の七人Season極』で「キン消しみたい」「キーホルダーにしたい」*3と言われるのも頷ける可愛さ。三宅さんはうつけやバカキャラをやらせたら天下一品ですね。刀を「タナカ」と言い、「斬鎧剣」にわざわざ「タナカ」とルビを振り、タナカさんだのウチダさんだのマチダさんだの東横線だの、しつこいほどに間違え、鳩を食べ、バカナ(もといバナナ)を食べ、敵を倒しながら師匠の贋鉄斎(逆木圭一郎さん)を打ちのめし、その師匠に濁点をもらって頭の右上でビヨンビヨンと揺らしながら喜んでいる。ずっと面白い。ずっと笑ってました。結構真面目なシーンでも捨之介をウチダさんと呼ぶ始末ですが、それさえも許せる愛おしさ。それなのに百人斬りや贋鉄斎のアトリエで髑髏党に襲われたときの殺陣では側転やバク転などのアクロバティックな動きが盛り込まれていて、さすがの身体能力。かっこよかったです。しっかし、面白かったあ。

 贋鉄斎の役割が弟子の(おバカな)カンテツになったのも『アオドクロ』ならではですが、個人的には、百人斬りの斬っては研ぐ理由が、贋鉄斎の頭の中には百人斬れる刀の構想があったのに死んでしまったがために、カンテツが自分にはそんな刀は作れないから、斬る度に研げば百人斬れるという話*4、流れが綺麗でカンテツらしさもあってめちゃくちゃ好きでした。忠馬に頼まれ錆び付いた刀を研ぎ直したらバレエのリボン(非道丸曰く鰹節)のような薄っぺらの刀になってカンテツ自ら「俺すげえ」と自慢している姿もカンテツらしくて愛おしかったです。*5

 メインキャストではありませんが外せないのが、アクションクラブの川原正嗣さん演じる非道丸。かっこよさ半端ねえ。ハゲなかったら最高にかっこいい(笑)まあ、それが面白いんですが。ちょうどDVDで『レッツゴー忍法帖』を見た直後で、こちらでも川原さんカツラが取れてハゲるネタがありましたね。上演当時としても『忍法帖』の次が『髑髏城の七人』だったはずなので、もはや定番ネタのなのですかね。*6しかし、ハゲたとしても川原さんの二枚目キャラはかっこいいです。何より声がいいですよね。そして言うまでもなく当たり前に殺陣が美しい。それがあるからこそのハゲですよ。川原さんこれからも応援してます。

 

 さてさて、『髑髏城の七人~アオドクロ』そのものについては、小ネタも含めればまだまだ言いたいことは山ほどあるのですが、収拾がつかなくなりそうなので、ここらで収めることにしましょう。それにしても『髑髏城の七人』は歴史が長いだけに奥も深い。そもそも知らないことが多すぎて気になることが多いので、詳しい方にぜひ教えを請いたいのでコメントお待ちしております。色々教えてください。でもまずは見られる作品、読める戯曲は片っ端から目を通していきたいと思います。とりあえず中島かずきさんが書かれた小説版の『髑髏城の七人』を手に入れました。これで少しは解決するかな。

髑髏城の七人 (双葉文庫)

髑髏城の七人 (双葉文庫)

 

*1:上演された劇場である東京の豊洲IHIステージアラウンドは客席が360度回転するらしい

*2:今は松本幸四郎さんですが染五郎さんで通します。だって上演の前後のコメントは染五郎って名乗ってるし、未だに染五郎さんって感じですから

*3:

新感線公式ツイッターです。 on Twitter: "みんな大好きキン消しみたいなカンテツと今日は泣き虫の元気娘、沙霧。目が赤かったから写真は撮らなかったけど、大変な機構の劇場で、あれもこれもやること満載の沙霧…ほんとにお疲れ様でした。いつまでも見ていたいほんわか仲良しコンビ!また新感線でご一緒できますように。… https://t.co/F37hh8Fhhh" 

猫背椿 on Twitter: "ヒロキックスは天海さんに「頭のてっぺんに金具付けてキーホルダーみたいに持ち歩きたい!!」と言われてました。… "

*4:97年再演版は贋鉄斎自身が「百人も斬れる刀はできない。斬る度に研ぐしかない」と言う

*5:97年再演版は贋鉄斎が「手入れを怠るな」と言って研いでめちゃくちゃ短い刀になる

*6:さらに元ネタは轟天?合ってますか?