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村上信五一人舞台『If or…Ⅹ』がDVDになった奇跡

 2018年10月24日、待ちに待ったDVDが宅配便のお兄さんによって我が家に届けられました。関ジャニ∞村上信五さんの一人舞台『If or...Ⅹ』です。

 作・演出・出演、村上信五一人というこの『If or...』。2009年に、その当時の時代の流れと彼のキャリアから5500円で販売されたチケットは、彼の知名度が上がっても、レギュラー番組が増えても、舞台の人気が上がっても、消費税が上がっても、この10年間一度たりとも値上がりすることなく、2018年の『If or...Ⅹ』を迎え、そして『If or...』はその10年の歴史に終止符を打ちました。

 そんな『If or...Ⅹ』がチケット代と同じく5500円でDVDとなって帰ってきました。しかも本編映像およそ2時間に加え、過去の『If or...』公演の映像を交えながら村上さんが10年を振り返る特典映像もおよそ2時間収録した2枚組。それで5500円(+送料600円)とは、舞台と同じく破格にも程があります。素晴らしく充実した内容で大満足でした。本当に映像化してくださってありがとうございます!!

 本編の『If or...Ⅹ』は私も大阪で観劇しました。最後になってしまうとは思いもよりませんでしたが、最後の最後にこの目で見ることができて本当に良かったと思っています。実際に見た『If or...Ⅹ』は本当に感動しました。何が凄いって、本当に村上さんのひとり芝居なわけですよ。冒頭なんて空中を相手に殺陣をしているわけですが、ちゃんと相手が見えるし、祝宴ではひとりで酔っ払ってしゃべり倒していますが、皆の衆も目に浮かぶよう。映像とのシンクロも素晴らしいし、その映像の中の村上さんの七変化(いや7つもないけど)もクオリティも素晴らしい。途中からは一人でやっていることを忘れてしまうほどに物語に没入していました。物語としてもちゃんと成立しているし、それでいて抜くところは抜く。ふざけてしっかり笑いも取って、大人気先生シリーズも面白い。最後のエンドロールでメイキング映像が流れた時に、村上さんがこれ作り上げて、そして一人ですべてを演じていたのだと改めて感じで感動しました。

 そんな観劇時の感動が、DVDを観ながら再び込み上げてきました。観劇時には気が付かなかった細部へのこだわりや小ネタの数々に新たな感動も覚えました。収録は東京での千秋楽ということで、カーテンコールの挨拶は千秋楽ならではのもので、過去の公演の振り返り映像までたっぷりと収録されていました。チケット代5500円の維持と本編最後に使用したスクリーンのために経費削減で甲冑1ポーズにした話や、過去映像を振り返りながらの村上さんのリアクションを見られて、大満足でした。

 特典映像のほうは、過去公演のダイジェスト映像が見られるという本当に贅沢なものでした。『If or...』に限らず、舞台の映像はWSでもあまり流れないので、今回、一部であったとしても観られたことは本当に貴重でした。

 過去の映像は村上さんが当時を振り返りながらお話している間に挿し込まれるという形で、当時の心境や裏話、今改めて観ての感想なんかも聞けて良かったですね。「あれはスベった」「もう見たくない」と本人自ら仰るものも最高に面白く、ひとりPerfume*1や「うしろうしろ」での映像*2は仰る通り、当時として考えれば確かに目新しく評価されるべきだと感じました。最後には先生シリーズと歌やダンスの傑作選まで盛り込まれていて充実感たるや...。お話し相手がディレクターの尾之上さんだったことも良かったですね。『月曜から夜ふかし』のディレクターもされている方でよく知った間柄だからこそ、村上さんもいろいろと話してくださったのかなと思いました。素晴らしい企画でした。

 過去の映像を見ていて驚いたのは、2009年の『If or...』で『戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr.Lawrence)』をピアノで生演奏されていたこと。今に比べれば拙い演奏なのですが、当時と言えば関ジャニ∞として初のバンドでのシングル『LIFE~目の前の向こうへ~』さえ発売する前です。*3ライブで数曲演奏する程度のレベルだったはず。そう考えると、村上さんが手を震わせながらも生演奏されていること自体が凄くて感動しました。また、その『戦場のメリークリスマス』ですが、『If or...Ⅹ』のエンドロールでめちゃくちゃかっこよくロックアレンジされていたのが大好きだったので、かつてメインテーマとして使用したという経緯があったのだなと思うと感慨深いものがありました。

 本編エンドロール映像で言えば、スタッフクレジットが、観劇時にはメイキング映像に夢中でよく見えていなかったのですが、改めて見ると面白いですね。名前の横に括弧()書きで村上さんがつけたのかニックネームらしきものと、参加回数らしきものが書いてあって、それを眺めているだけでも楽しいです。映像でピアノ演奏をされたらしい清塚信也さんは「天才」だそうで(笑)。他にもこんな方が携わっていたんだという喜びが多数ありました。演出助手の大堀光威さんは、大人計画の演出助手をされている方ですし、殺陣指導の前田悟さんは長年、劇団☆新感線の殺陣に携わり、今年は『ニンゲン御破算』*4にも殺陣指導・出演をされていた方。そして一番テンションが上がったのが小道具の高橋岳蔵さん。劇団☆新感線の劇団員でインディ高橋という名前で役者もやりながら、小道具も手掛ける方。そんな高橋さんのニックネーム(?)は「とっつぁんとこ」となっていて、これはつまり、とっつぁん=古田新太劇団☆新感線ということでしょうね。*5見つけた時にはニヤニヤが止まりませんでした(笑)

 まだまだ語ればきりがないのですが、本編も特典も大ボリュームでこのお値段。村上さんが10年やってきたこの作品の凄さをもっと世の人々にも知ってもらいたい!ところなのですが、残念なことに完全予約制というか完全受注生産というか一般には流通していないというか、要は今から買うことはできないんですよね。普通に販売すればいいのに、とも思うのですが、もともと映像化予定のなかった『If or...』シリーズを、最後だからということで映像化して、さらにその映像化するつもりのなかった過去の映像まで収めてくださったこのDVDですから、これ以上文句は言えません。十分なご対応です。だからせめて『If or...』がいかに偉大なものだったかを世の人々にお伝えすべく......。嘘です。そんな大層なものではありません。単に私のこの感情を吐き出したいがため書きました。

 最後に柄にもないですが少しだけ感傷的な話をさせてください。特典映像の中でもお話されていましたが、最初の『If or...』が上演される1年前の2008年、村上さんは渋谷すばるさんと『「未定」壱』という二人舞台をされました。お二人で作・演出・出演をされ、翌年も二人でやろうと話が上がったとき、渋谷さんは当時ジャニーズJr.のグループとバンド活動*6をされていて、そこで村上さんがお一人で舞台をされることになったといいます。この話自体は関ジャニ∞の8周年イベント『∞祭』のパンフレットで渋谷さんがお話していて、そこで渋谷さんは、いつかまた二人で舞台をやるときのために村上さんは一人で舞台を続けてくれているのではないかと思っている、と話しています。

 そんな渋谷さんは今年でジャニーズ事務所を退所されます。そして『If or...』も10年を経て幕引き。なんだか関係がありそうな響きですが、必ずしも因果関係があるとは思えません。渋谷さんの話が上がったのが2月で最終決定は4月の発表される直前。村上さんが幕引きを発表されたのは3月の千秋楽で、お話はそのもっと前から出ていたでしょうから、絶対的な関連はないと思います。ただ、それも運命だったのかなというか...。村上さんが二人でいつかやる舞台のためにと思っていたかどうかは分かりませんが、その必要がなくなって、偶然だとしても良いタイミングだったのではないかなと思いました。いらん話をしましたね。ヲタクの妄想です。適当にあしらってください。

  とにもかくにも、村上さん、10年間お疲れ様でした!そしてDVD発売ありがとうございました!

 

実際の観劇録はこちら

sky8ekj.hatenablog.com

*1:Perfumeっぽい衣装にヒールで本家の『ねぇ』を完璧に踊る舞台上の村上さんの後ろには映像でもう2人の村上さんがいて、見事にひとりでPerfumeを再現していた。2014年『If or...Ⅵ』より

*2:家でくつろぐ舞台上の村上さんが、映像の中のお化けの村上さんになかなか気づかないというまさに「うしろうしろ」なコント。舞台上にいる村上さんが動くと、それに合わせて映像も動くことで背景が変わり、まるで今流行りのVRのような感じ。これをやったのが2010年『If or...Ⅱ』

*3:『LIFE』の発売は2010年8月25日

*4:2018年6月~7月に大人計画松尾スズキさん作演出で上演された舞台

*5:『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日)で共演している村上さんと古田さん。村上さんは古田さんのことを「とっつぁん」と呼んでいます。そんな古田さんは言わずと知れた劇団☆新感線の看板俳優です。

*6:FLAT FIVE FLOWERS