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音楽劇『マリウス』観劇しました

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 2018年6月20日大阪松竹座にて音楽劇『マリウス』夜公演を観劇しました。

 主演は療養のため降板された今井翼さんに代わって後輩・ジャニーズWEST桐山照史さん。2日前には大阪の地震もあって急遽上演中止になるなどのハプニングもありましたが、翌日から再開され、この日も無事公演が終了しました。

音楽劇 『マリウス』公演概要

2018年6月8日~26日 大阪松竹座

脚本・演出:山田洋次

原作:マルセル・パニョルキャスト

主演:桐山照史(ジャニーズWEST) / 瀧本美織 綾田俊樹 林家正蔵 柄本明 / 広岡由里子 有薗芳記 阿南健治 / 西畑大吾(関西ジャニーズJr.) 北山雅康 松野太紀 / 田口守 田中利花 / 鍵田真由美 他

 

 良い作品でした。1931年のフランスの小さな港町で繰り広げられる物語。日本と異なるフランスの地、今とは異なる時代背景からもちろん文化は随分と違い、その点において理解が追いつかない所も時々あったのですが、基本的には分かりやすいお話でした。キャストも多数でカタカナの名前が多かったので、カタカナ苦手の私は絶対に混乱するだろうと踏んでいたのですが、思った以上にすんなりと物語に入っていけました。マリウスが自分の夢と愛する人との間で葛藤する様子など、今にも通ずる価値観もあって、登場人物それぞれに感情移入もできます。その一方で、日本ではないフランスという地を逆手に取って、日本を使って笑いを取るというのは原作が海外の戯曲ならでは。郵便屋の関西弁には笑わされました。つられて関西弁になるブラン(綾田俊樹さん)も面白かったです。

 笑いといえば、柄本明さんが冒頭からずっと面白くて面白く、さすがでした。ところどころアドリブだったりもしたのでしょうか。どこまでがアドリブでどこまでが台詞なのか分からない。キャストが笑ってしまっていて多少グダっとなる場面もありましたが、柄本さん本当に面白かったです。それでいて後半はとてもシリアスな演技をされていて泣かされました。ただ、それまでの面白かったイメージが強かったのかシリアスなシーンで笑いが起こっている箇所がいくらかあって少し残念でした。でも柄本さん本当に素敵でした。林家正蔵さんも面白かったなあ。水をぶちまけるシーンは桐山さんも瀧本美織さんも大変でしたね。

 音楽劇というだけあって、生演奏は痺れました。フラメンコのときのクラシックギターが色っぽくて本当にかっこよかったです。下手側にバンド隊がいたようですが私の席も下手側だったので見えづらかったのが少し残念でした。反対側なら見えたのかなあ。冒頭とラストシーンで大半のキャストによって歌われた曲は、大人数の合唱で迫力がありましたし、何より曲が楽しいのに最後はとても切ない。それが冒頭で聴いたときよりラストシーンではより心に染みました。桐山さんの歌もさすがお上手で素敵でした。瀧本さんも綺麗な歌声だったな。フラメンコは今井さんだからこそというところもあったでしょうし、代役の桐山さんは短い中で大変だったと仰っていましたが、とてもかっこよかったです。でも一番度肝を抜かれたのは、腰の曲がったお爺さんがキレッキレのフラメンコを披露されたことですね。あれは凄かった。

 キャストが大勢いるので、メインとなる店内で物語が進んでいるときも、外で人が通行していたり、そっちでも小さな物語が進んでいたりと、とてもリアルでした。これは何回か観るとより面白いやつですね。チケットがあればぜひ行きたい。西畑大吾さん(関西ジャニーズJr.)が出演されていることを初めすっかり忘れていて、登場シーンもちゃんと見られなかったし店の外でのシーンもメインのお芝居に集中していて見逃した所があったので、少し後悔しました。もちろんメインのお芝居を観てないと話に置いていかれるので初見としては正しかったのですが。機会があればもう一度観たいです。

 そういえば美術が凄かったです。店内のセットも細かいし、店の外の道端や桟橋もリアル。そしてなにより背景がとても美しい。本当に街が広がっているかのようなリアルな風景で、夜になると星や月も見える、とても美しいフランスの景色を見ることができました。

 物語としてはマリウス(桐山)の苦悩は痛いほど分かりました。町は嫌いじゃないけど出て行きたい。船に乗って航海する夢が諦められない。愛するファニー(瀧本)にも気持ちを伝えられない。ファニーも苦悩していて、お互い好きだと分かっているのに結ばれず、誤解が誤解を生んでいる様子は見ていてとてももどかしかったです。せっかく結ばれても、ファニーはマリウスのことを思って突き放し船に乗せてしまうし、マリウスも勘違いしたままだし、それでお互い苦しんでいる。本当にもどかしいです。セザール(柄本)もパニス(林家)苦しんでいて、マリウスが帰ってきたことで皆さらに苦しむ。もう元には戻れないことが分かったとき、マリウスとファニーが結ばれて幸せになることはないのだと分かったとき、本当に切なかったです。マリウスとセザールが思いの丈をぶつけ合ったあとの親子の別れは一番辛かったです。その後のファニーとの別れも。感動というか、なんだか切ない気持ちになりました。しかし、その後のカーテンコール、特にフラメンコはとても晴れやかでした。キャスト陣の笑顔を何度も見られて、楽しい気分ですべてが終了しました。

 

 一時は地震でどうなるかと心配していましたが、無事に観劇できて本当に良かったです。物語も良かったし、キャストも良かった。柄本さんと綾田さんのお芝居を生で観られたことはかなり感動しています。観に行けて本当に良かったです。中止になった18日の振替公演も決まり、残すところおよそ1週間、怪我なく無事に千秋楽を迎えられることを祈っています。